ECビジネスで売上をアップさせるには、どんな施策が自社で効果を発揮するかをしっかりと見極める必要があります。収益の改善であれば運営コストや価格設定の見直しという選択肢もありますが、経費削減のし過ぎで商品やサービスの質が落ちたり、値上げで顧客が離れていったりしては元も子もありません。必要な施策にはきちんと手間やコストをかけながら、その運用や需要の増加に対応できる体制を整えていくことが大切です
そこで本記事では、売上アップにつながる実践的な施策12選をご紹介します。

ECの売上に影響を与える3つの指標
ECサイトの売上を伸ばすには、サイトへの流入数(トラフィック)を増加させ、アクセスしたユーザーの購入率(コンバージョン率)を高めること、さらに顧客との関係性を深めて継続的に利用してもらうことが重要です。この3つの指標を分析し、いずれかを改善していくことが、多くの施策の目的と言えます。
流入数(トラフィック)
流入数(トラフィック)とは、ECサイトの訪問者数を指します。サイトへのアクセスが増えると、アプローチできる潜在顧客が増加し、売上アップが期待できます。例えば、SEO(検索エンジン最適化)対策は、アクセス数を増やす代表的な施策の一つです。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率(CVR)とは、ECサイトに訪問したユーザーが実際に商品を購入する割合です。例えば、訪問者数10,000人のうち、200人が購入に至るとCVRは2.0%となります。アクセス数や商品単価を改善しなくても、ECサイトの購入率が増加すれば売上アップにつながります。
顧客生涯価値(CLV)
顧客生涯価値(CLV)は、顧客との関係が続く間に企業へもたらす総利益のことです。顧客の平均注文額や購入頻度、関係の継続期間といった要素が影響します。1回あたりの平均顧客単価を高める施策に加えて、顧客との関係を継続してリピート購入を促せるとCLVが向上し、安定した売上の増加が見込めるでしょう。

ECの売上を伸ばす方法
- セールスファネルを改善する
- SEO対策を実施する
- ECサイトのUI/UXを改善する
- カゴ落ちを減らす
- メルマガを配信する
- 有料広告キャンペーンを活用する
- SNSマーケティングを活用する
- インフルエンサーと提携する
- 購入インセンティブを提供する
- ロイヤルティプログラムを開始する
- アプリ内ショッピングを有効にする
- カスタマーサービスを強化する
1. セールスファネルを改善する
セールスファネルとは、ユーザーがECサイトを訪れてから商品を購入するまでの流れを段階的に捉えたものです。多くの場合、「訪問 → 商品閲覧 → 比較検討 →カート投入 → 購入」といったステップで構成され、段階が進むごとにユーザーは離脱して人数が絞り込まれていきます。
こうしたファネルのステップごとに指標を分析することで、改善すべきポイントを特定できます。例えば、CVRが高い一方で訪問者数が少ない場合は、SEO対策やSNS、有料広告などを使って流入数を増やすことが有効です。一方で、アクセスは多いものの購入につながっていない場合は、商品ページや決済プロセスなどのUI/UX改善が効果を発揮する可能性があります。
2. SEO対策を実施する
SEOとは、Google(グーグル)などの検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に、自社サイトが上位に表示されるように最適化する施策です。検索結果の上位に表示されるほど、検索エンジンから自社サイトに訪れるオーガニックトラフィックの数が増加します。つまり、SEOは売上を伸ばす要因の一つである、流入数を改善する施策です。
アメリカのSEO専門ファームであるFirst Page Sageの2025年に公開した資料(英語)によると、Googleの検索結果で1位に表示されたサイトは、39.8%のユーザーにクリックされるといいます。検索数の多いキーワードで上位が取れると、流入数の増加が見込めるでしょう。また、SEOは広告費用が不要なため、費用対効果の高い集客を維持できるメリットもあります。
3. ECサイトのUI/UXを改善する
ECサイトのUI/UXとは、ユーザーがサイトを操作する際の見た目や使いやすさ(UIデザイン)と、購入に至るまでの体験(UXデザイン)を指します。UI/UXが優れているサイトほど、ユーザーは迷わず行動でき、購入などのコンバージョン率向上につながりやすくなります。以下の4つの観点から自社ECサイトを見直してみましょう。
デザインとブランディング
ウェブサイトのデザインには、ブランドを表現する力があります。色使いやフォント、写真などのトーンが統一されているか確認しましょう。
商品ページ
商品ページは、顧客が購入を判断できる情報が十分にそろっているか確認しましょう。例えば、以下のようなプロダクトページの最適化が挙げられます。
- 複数の写真を使って、サイズ感や使用イメージを具体的に伝える
- 最新の内容に更新する
- 仕様や注意点など、購入前に知りたい情報を記載する
- 口コミを見つけやすい位置に表示する
口コミは肯定的な意見だけでなく、否定的なコメントも掲載することで、商品の信頼性が高まり、購入への安心感につながります。
決済プロセス
決済プロセスは、シンプルで直感的な操作であることが重要です。例えば、複数の支払い方法への対応や、決済時にすぐアクセスできるサポートを用意することは、CVR改善につながる施策として一般的です。
モバイル表示対応
商品閲覧やカート操作はもちろん、決済やFAQページ、お問い合わせといった主要な機能が、モバイル環境でもスムーズに使える状態になっているか確認しましょう。
Shopify(ショッピファイ)のようなeコマースプラットフォームを活用すれば、モバイル表示に最適化されたデザインテーマや決済機能を簡単に導入でき、売上アップが期待できます。
4. カゴ落ちを減らす
カゴ落ちとは、商品をカートに入れたものの、購入を完了せずに離脱してしまう状態を指します。株式会社イー・エージェンシーの調査によれば、ECサイトのカゴ落ち率は平均約63.3%とされ、購入を検討した10人のうち実際に決済まで進むのは4人もいないということになります。
離脱を防ぐためには、カートに商品を入れたことをリマインドするカゴ落ちメールや、過去に訪問したユーザーへ再度アプローチするためのリターゲティング広告が効果的です。
5. メルマガを配信する
メルマガ(メールマガジン)の配信は、ブランド認知を高めるだけでなく、顧客維持率を高め、リピーターの獲得にもつながる施策です。ECサイトへの再訪を促し、リピーターの獲得にも効果的です。
例えば、商品活用のヒントや業界情報など、顧客にとって価値のある内容をニュースレターとして定期的に配信すると、ネットショップの信頼性を高め、顧客ロイヤルティの向上につながります。また、新商品の発売やセール情報を知らせるプロモーションメールは、リピート購入を後押しする有効な手段です。
6. 有料広告キャンペーンを活用する
有料広告は、短期間で流入数を増やせる即効性の高い施策です。有料広告には、テレビや屋外広告などの従来型のものと、検索エンジンやSNS、ディスプレイ広告といったデジタル広告があります。ECビジネスでは、デジタルマーケティングの施策であるデジタル広告が特に有効です。
デジタル広告は、地域や年齢、閲覧履歴などのデータをもとに、購入意欲の高い潜在顧客へ効果的に配信できます。また、広告からのアクセスや購入数をデータで把握できるため、費用対効果を検証しながら改善できる点も大きなメリットです。
7. SNSマーケティングを活用する
SNSマーケティングは、ECサイトへの流入数を増やし、ブランドの認知を高めるのに有効な手段です。商品情報や活用シーンをSNSで発信することで、自社商品への理解を深め、フォロワーをECサイトへと誘導できます。継続的な情報発信は、顧客との関係性を強化し、長期的な顧客維持率やリピート購入率の向上につながります。
ターゲット顧客が利用しているSNSを選定することも重要です。さらに、SNS管理ツールを活用すれば、投稿のスケジュール管理やエンゲージメントの把握といった効果測定を効率的に進められるため、SNSマーケティングの効果を最大化できます。
8. インフルエンサーと提携する
インフルエンサーマーケティングとは、SNSで影響力を持つクリエイターと提携し、ブランド認知の向上や売上の拡大を図る施策です。特定の興味や価値観を持つニッチな層にリーチできるため、コンバージョン率の高い潜在顧客の流入数を増やしやすい点が特徴です。
提携の形態には、商品を無償で提供して紹介してもらうギフティングや、継続的に発信してもらうブランドアンバサダーなどがあります。なかでも、インフルエンサーのフォロワー向けにクーポンを配布する手法は、効果を測定しやすく、購買を直接的に促せる点で有効です。自社のターゲット層と親和性の高いインフルエンサーとのつながりは、ECサイトの売上を伸ばす重要な要因となります。
9. 購入インセンティブを提供する
購入インセンティブは、購入を迷っている顧客の背中を押す施策として効果的です。特に、決済直前で離脱するカゴ落ちが多い場合に有効です。
例えば、メルマガの登録と引き換えに初回購入割引を提供したり、一定金額以上の注文で割引を適用したりする方法があります。また、送料無料や無料返品、返金保証を用意することは購入時の心理的なハードルを下げ、CVRの改善につながります。
10. ロイヤルティプログラムを開始する
ロイヤルティプログラムとは、継続的に利用してくれる顧客を対象に、ポイントや特典などの報酬を提供する仕組みです。購入回数の増加や友人紹介といった特定の行動を促す目的でも活用されます。
ロイヤルティプログラムを導入することで、顧客との関係を長期的に維持しやすくなり、リピート購入の促進や平均顧客単価の向上につながります。LTVを高め、eコマース全体の売上の成長に期待できます。
11. アプリ内ショッピングを有効にする
アプリ内ショッピングは、SNSプラットフォームに投稿したコンテンツから、商品を購入できるようにする施策です。TikTok Shop(ティックトックショップ)やインスタのショップ機能、Facebook(フェイスブック)ショップなどを活用すると、アプリから離れることなく購入できるため、購入までの障壁を減らす効果があります。
12. カスタマーサービスを強化する
カスタマーサービスを強化することで、顧客満足度が高まり、継続利用やリピート購入が促進されます。カスタマーサポートサービスを提供するZendesk(ゼンデスク)の調査(英語)によると、消費者の約4人に3人(約75%)が優れた顧客体験(CX)を提供する企業により多くのお金を使うと回答しています。
カスタマーサービスの強化は、顧客維持率や顧客平均単価の向上が期待できます。具体的には、メールやチャットなど複数チャネルでのサポートの提供や、FAQの整備、顧客からのフィードバックをもとにした対応品質の改善が効果的です。
まとめ
ECサイトの売上をアップさせるには、指標にもとづいた分析と改善が重要です。売上を構成する3つの指標を理解すると、課題を特定しやすくなります。今回紹介した12の施策は、いずれもECサイトの売上アップに直結する実践的な方法です。自社ECの現状を数値で把握し、効果の高い施策から優先的に取り組んでみましょう。
ECサイトの売上アップに関するよくある質問
eコマース市場の成長率はどのくらいですか?
日本のeコマース市場は、安定した成長を続けています。経済産業省が公表する「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の国内BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は26.1兆円と、前年比5.1%増へと成長しています。
ECサイトの売上をアップさせる施策のうち優先度が高いものはどれですか?
eコマースの売上を伸ばすためには、流入数、CVR、平均顧客単価のうち、低い指標から改善することが重要です。
- 流入数の改善:SEO対策やSNS、有料広告キャンペーンなど
- CVRの改善:UI/UX改善やカゴ落ち対策など
- 平均顧客単価やLTVの改善:メルマガ配信、カスタマーサービスの強化など
文:Haruhiko Kagawa





