ECの費用管理では、配送やマーケティング、プラットフォームの利用料など、目に見えやすいコストに意識が向きがちです。そのため利益を圧迫する要素として見落とされやすいのが、クレジットカードや二次元コード決済などキャッシュレス決済を受け付けるたびに差し引かれる決済手数料です。
とはいえ、手数料がかかるからといってキャッシュレス決済を扱わない選択は現実的ではありません。経済産業省の「2025年のキャッシュレス決済比率を算出しました」によると、2025年の国内キャッシュレス決済比率は58.0%に達し、決済額は162.7兆円にのぼります。前年から5.2ポイント上昇しており、キャッシュレス決済は、もはや一部の顧客だけが選ぶ支払い方法ではなくなっています。
この記事では、これからキャッシュレス決済の導入や見直しを検討する事業者に向けて、決済手数料の仕組みや内訳、決済手段別の相場、負担を抑える方法を解説します。キャッシュレス決済手数料を最適化するために、ぜひ参考にしてみてください。

決済手数料とは
決済手数料とは、顧客がクレジットカードや二次元コード決済などで支払った代金を、事業者が受け取る際に差し引かれる費用です。決済代行会社が手数料をまとめて徴収し、次のように関係各社へ配分します。
- 決済代行会社が、決済手続きの提供や管理にかかる費用として一部を受け取る
- カード発行会社が、カードの管理や与信リスクの対価として一部を受け取る
- Visa(ビザ)やMastercard(マスターカード)などの国際ブランドが、ネットワーク維持や不正対策の費用として一部を受け取る
決済手数料は多くの場合、取引額からあらかじめ差し引かれ、残りの金額が事業者の口座へ入金されます。たとえばShopify(ショッピファイ)では契約プランによって決済手数料率が異なり、その割合は2.9〜3.9%です。上位プランほど手数料率は下がる一方、月額の固定費は高くなります。

主な決済手数料の内訳
- 決済処理手数料
- インターチェンジフィーとブランド手数料
- 決済ゲートウェイ利用料とトランザクション処理料
- 月額固定費と月額最低手数料
- 初期費用と端末費用
- チャージバック手数料
- 振込手数料や返金手数料などの付随費用
- 解約にともなう費用
決済処理手数料
決済処理手数料は、決済代行会社に支払う費用の中心となるものです。カード決済や二次元コード決済を処理する一連の手続きにかかる費用で、料率は業種や取引方法、リスクの大きさによって変わります。たとえば対面決済に比べてオンライン決済は不正利用のリスクが高くなりやすいため、料率がやや高めに設定される傾向があります。
インターチェンジフィーとブランド手数料
決済処理手数料の中には、加盟店と契約するカード会社(アクワイアラー)からカード発行会社へ支払われる「インターチェンジフィー」や、国際ブランドに支払われる「ブランド手数料」などが含まれています。そのため、加盟店がこれらの手数料をそれぞれ別の支払先に支払う必要はありません。
カード決済を受け付けるためにかかるこうした費用は、クレジットカード決済手数料と総称されることもあります。
決済ゲートウェイ利用料とトランザクション処理料
決済ゲートウェイは、会計ページのカード情報を安全に決済代行会社へ引き渡す仕組みです。この利用料やトランザクション処理料は、決済処理手数料に含まれている場合と、別途設定されている場合があります。契約時には、どちらの扱いかを確認する必要があります。
月額固定費と月額最低手数料
月額固定費の有無は、決済代行会社によって異なります。決済手数料とは別に月額固定費がかかるサービスもあれば、月額固定費がかからないサービスもあります。また、毎月の決済処理額が一定に満たない場合に不足分を請求する月額最低手数料は、一部の決済代行会社や旧契約に限られており、すべてのサービスで発生するわけではありません。
初期費用と端末費用
オンライン決済専業のSaaS型サービスでは、初期費用がかからない場合が多く、Shopifyも初期費用は発生しません。一方、店頭での対面キャッシュレス決済を併用する場合は、決済端末の購入費やレンタル費が別途発生することがあります。
チャージバック手数料
チャージバックとは、身に覚えのない請求や商品の未着などを理由に、顧客がカード会社へ支払いの取り消しを申し立てることです。これが発生すると、返金に加えて決済代行会社へ手数料を支払うことになる場合があります。
金額は契約先によって差があり、たとえばShopifyペイメントでは1,300円、Stripe(ストライプ)では1,500円に設定されています。なお、Shopify ペイメントでは加盟店側の主張が認められた場合、この手数料が返金されます。
振込手数料や返金手数料などの付随費用
決済代行会社から事業者の口座への振込手数料や、返金処理にかかる手数料、海外通貨での決済にともなう為替関連費用など、契約内容によってさまざまな付随費用が発生することがあります。紙の明細発行など個別のオプションにかかる費用も、この付随費用に含まれます。
解約にともなう費用
解約時に発生する費用や条件は、決済サービスによって異なります。解約金や違約金を設けていないサービスがある一方、最低利用期間が設定され、期間内に解約すると違約金が発生するサービスもあります。また、解約しても残りの契約期間に対して返金が行われない場合もあります。契約前に、最低利用期間や違約金の有無、支払い済み料金の返金条件を確認しておきましょう。

決済手数料の相場
決済手数料の1取引あたりの計算方法には、主に定額制、インターチェンジプラスの2つの方式があります。
定額制
定額制は、取引ごとに同じ料率が適用される方式です。決済代行会社が、カード発行会社への配分、国際ブランドへの配分、自社の取り分をまとめてひとつの料率として提示するため、事業者にとっては料金体系がわかりやすく、コストの見積もりもしやすいという特長があります。
主要な決済代行サービスの定額制プランの公開料率は、次のとおりです。
- クレジットカード:おおよそ2.59〜5.5%程度で、大口事業者を対象としたプランほどより安くなる傾向にあります。サービスによっては、月額無料に設定しているものもあります。
- 二次元コード決済:PayPay(ペイペイ)が公開している料率では、物販やサービスが3.8%、デジタルコンテンツが10%です。
キャッシュレス決済手数料を決済手段ごとに比較する際は、料率だけでなく、振込手数料や入金サイクルの長さといった実質的なコストも合わせて確認すると、実際の負担感を把握しやすいでしょう。
インターチェンジプラス
インターチェンジプラスとは、決済代行会社の取り分だけを一定に固定し、カード発行会社や国際ブランドに渡る分は実費としてそのまま請求する方式です。日本では、大口事業者やグローバル企業向けの個別契約で採用されています。
カード発行会社に支払われる分はインターチェンジフィーと呼ばれ、国際ブランドが標準料率を公開しています。Visaの場合、一般・その他に区分される業種では、一般カードが2.28%、ゴールドカードが2.38%です。たとえば、一般カードで10,000円の取引があれば、228円がカード発行会社に支払われます。
これに国際ブランドへの配分と決済代行会社の取り分を加えた額が、事業者が負担する手数料になります。中小事業者向けの一般的なプランでは、クレジットカード決済の料率は約3~5%です。突き合わせると、手数料の多くをインターチェンジフィーが占めていることがわかります。

決済手数料を抑える方法
キャッシュレス決済を受け付ける限り、決済手数料をゼロにはできませんが、負担を抑える手立てはあります。具体的には、次のような方法があります。
- 決済代行会社との契約内容の見直し:契約プランや料率が、自社の取引金額や件数に合っているかを確認しましょう。取引量が増えていれば、決済代行会社が料率の引き下げに応じてくれる場合があります。
- 決済手段の見直し:クレジットカードに加えて、銀行振込や口座振替といった手数料の低い決済手段も用意しておきましょう。これらは1件あたり定額の手数料であることが多く、単価の高い商品ほどカード決済より負担が軽くなります。
- チャージバックや不正利用への対策:チャージバックが起きると、売上が取り消されるうえに手数料も発生します。発生率が高い状態が続けば、罰金や決済機能の制限を受ける可能性があります。不正検知サービスの利用や配送先住所の照合、返品条件の明確化といった対策で、発生そのものを減らせます。チャージバックが減れば、長期的な手数料負担も抑えることにもつながります。
- 請求明細の定期的な確認:決済代行会社の料率は固定ではなく、契約更新や規約改定のタイミングで変わることがあります。毎月の明細を確認しておけば、値上げや誤請求に気づけます。条件が合わなくなったときは、別のサービスへの切り替えも検討しましょう。
- カード情報の保護:EC加盟店にはカード情報を保持しない仕組み、または保持する場合のPCI DSS準拠が求められます。委託先の決済代行会社がこの指針に従っていることを確認し、自社サイトの脆弱性対策も行いましょう。情報漏えいが起きれば、調査や返金にかかるコストは手数料の比ではありません。Shopifyのように決済基盤側で対応を担うサービスを使えば、自社対応の範囲を減らせます。
まとめ
決済手数料は、クレジットカードや二次元コード決済などキャッシュレス決済を受け付ける事業者にとって、避けることのできないコストです。費目や相場を把握したうえで、現在契約している決済代行会社のプランや料率を見直すことが、手数料の負担を抑えることにつながります。
Shopifyでは、Shopifyペイメントを使うことで、クレジットカードや二次元コード決済など複数の決済手段を管理画面からまとめて有効化できます。外部の決済サービスを別途利用する場合にかかる追加手数料も発生せず、売上と手数料の内訳を同じ画面で確認できるため、毎月の明細チェックや料率の見直しもしやすくなります。無料体験も実施していますので、ぜひご活用ください。
決済手数料に関するよくある質問
決済手数料は誰が払う?
決済手数料は、カード会社や決済代行会社と契約している事業者(加盟店)が負担します。顧客が支払った代金から決済手数料が差し引かれた金額が、事業者の口座に入金されます。
決済手数料は顧客に転嫁できる?
原則としてできません。日本では、クレジットカードをはじめとする主要な決済サービスの加盟店規約が、決済手数料を上乗せして請求する行為(サーチャージ)を禁じているためです。手数料分は、商品価格や送料の設計に織り込んで回収するのが一般的です。
決済手数料に消費税はかかる?
決済手数料の消費税の扱いは、契約形態によって異なります。
- クレジットカード会社と直接契約している場合:手数料は債権譲渡の対価とみなされ、消費税は非課税
- 決済代行会社を挟んで契約している場合:システム利用料などとして、消費税の課税対象になることが多い
- Shopifyペイメントを利用する場合:決済代行会社を挟む形態にあたるため、課税対象として扱われるのが一般的
契約内容によって判断が分かれる部分もあるため、詳細は税理士などの専門家に確認してみましょう。
決済手数料の勘定科目は?
決済手数料は、会計処理上「支払手数料」の勘定科目で処理するのが一般的です。ただし、取引量が多く手数料の推移を単独で把握したい場合は、専用の科目を設けて管理することもあります。処理方法によって月次の見え方が変わるため、税理士などの専門家と相談して決めましょう。
決済手数料をなくす方法はある?
キャッシュレス決済を受け付ける限り、決済手数料を完全になくすことはできません。ただし、契約内容の見直しや決済手段の使い分けなど、負担を抑える方法は複数あります。




