マーケティングでは、広告やコンテンツ、SNSなどさまざまな方法で顧客に働きかけ、商品やサービスへの関心を高めます。しかし、どの施策が実際に成果につながっているかを判断するには、その効果を数値で測定することが欠かせません。
適切なマーケティングKPIを設定して継続的に追跡することで、効果的な施策や改善点を把握し、データに基づいてマーケティング戦略を見直すことができます。
本記事では、マーケティングKPIの基本的な考え方や、ECで注目したいKPIについて紹介します。

マーケティングKPIとは
マーケティングKPIとは、マーケティング活動の目標達成度を示すために設定する重要な指標です。マーケティング活動では、Webサイトの訪問数やコンバージョン率、顧客獲得単価、顧客生涯価値など、さまざまなKPI(重要業績評価指標)を測定します。マーケティング指標は、販売データやWebサイトのアクセス解析などから取得でき、施策の効果を客観的に評価するのに役立ちます。
マーケティングKPIは、こうした指標の中から、売上や利益などの最終目標の達成に向けて特に重要なものを選び、具体的な数値目標を設定して継続的に追跡します。最終目標値を示すKGI(重要目標達成指標)に対し、KPIはそこに至るまでの進捗を示す中間的な指標として位置づけられます。
適切なKPIを設定して定期的に確認することで、マーケティング施策が目標どおりに進んでいるかを把握し、成果が出ている施策や課題を見つけやすくなります。

マーケティングで注目すべきKPI 11選
- Webサイト訪問数
- クリック率(CTR)
- SNSのエンゲージメント
- コンバージョン率(CVR)
- 顧客獲得単価(CAC)
- リード獲得単価(CPL)
- リピート率
- 顧客生涯価値(LTV)
- クリック単価(CPC)
- 広告費用対効果(ROAS)
- マーケティング投資収益率(ROI)
Webサイト訪問数
Webサイト訪問数は、マーケティング施策によってどれだけのアクセスを集められたかを示す基本的なKPIです。一般にセッション数を使って測定し、広告や検索エンジン、SNS、ブックマークなど流入経路ごとの集客状況を把握できます。特にECサイトでは、商品を購入する顧客の母数となる重要な指標です。
セッションとは、ユーザーがWebサイトを訪問してから離脱するまでの一連の行動をまとめた単位です。同じユーザーが複数回訪問すれば、それぞれ別のセッションとしてカウントされます。一方、ユーザー数はWebサイトを訪れた人の数を示すため、セッション数と併せて確認することで、幅広いユーザーを集客できているのか、同じユーザーが繰り返し訪問しているのかを分析できます。
クリック率(CTR)
クリック率(CTR)とは、広告や検索結果の表示や、メルマガなどの開封回数に対して、リンクがクリックされた割合です。「クリック数 ÷ 表示回数 × 100」で算出し、ユーザーをWebサイトなど次の行動へどの程度誘導できたかを示すKPIです。
CTRは広告だけでなく、自然検索では検索結果の表示回数、メルマガでは開封数などを基準として測定できます。タイトルや説明文、画像、リンクの配置などを改善し、ユーザーの関心を引いてクリックにつなげられているかを評価する際に役立ちます。
ただし、CTRが高くても表示回数自体が少なければ、十分なアクセスを獲得できるとは限りません。クリック数なども併せて確認し、割合と実際の集客量の両面から評価しましょう。
SNSのエンゲージメント
SNSのエンゲージメントは、ユーザーが投稿に対してどの程度反応したかを示すKPIです。いいね、コメント、シェア、クリックなどが代表的な指標となり、投稿を見たユーザーに占める割合を示すエンゲージメント率によって、コンテンツへの関心や反応を評価できます。SNSマーケティングでは、投稿を見たユーザー数を示すリーチやフォロワー数も、ブランドの認知度や情報発信力を示すKPIとして利用できます。
SNSの種類によって利用者層やコンテンツの形式、期待できるユーザー行動は異なります。複数のSNSを利用する場合は媒体ごとに目的を明確にし、それぞれに適したKPIを設定しましょう。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率(CVR)とは、Webサイトを訪問したユーザーのうち、商品購入や問い合わせなど、目的とする行動に至った割合です。「コンバージョン数 ÷ 訪問数 × 100」で算出し、訪問したユーザーをどれだけ効率よく成果につなげられたかを示すKPIです。
何をコンバージョンとするかはWebサイトの目的によって異なります。ECサイトでは商品購入が代表的ですが、会員登録やメルマガ登録、問い合わせ、資料請求なども設定できます。また、サイト全体だけでなく、ページや流入経路、マーケティング施策、商品カテゴリーなどに範囲を絞ってCVRを測定すれば、成果が出ている部分や課題を特定しやすくなります。
CVRが向上しても、訪問数が減少すれば、コンバージョン数が増えるとは限りません。CVRとコンバージョン数を併せて確認し、成果の効率と量の両面から評価しましょう。
顧客獲得単価(CAC)
顧客獲得単価(CAC)とは、新規顧客1人を獲得するためにかかった平均コストです。「顧客獲得にかかった費用 ÷ 新規顧客獲得数」で算出し、マーケティングの種類に応じた顧客獲得の効率を評価するKPIです。
CACを継続的に測定することで、一定の予算でどれだけ新規顧客を獲得できるかを予測し、予算配分や施策の見直しに役立てられます。ただし、CACを下げることだけを目標にすると、新規顧客の獲得数まで減少するリスクがあります。新規顧客獲得数も併せて確認し、必要な顧客数を適切なコストで獲得できているかを評価することが重要です。
CACは広告など特定のマーケティングチャネルや施策に範囲を絞って算出することもできます。その場合は、対象とする費用と、その施策によって獲得した新規顧客を対応させて計算する必要があります。
リード獲得単価(CPL)
リード獲得単価(CPL)とは、見込み顧客(リード)を1件獲得するためにかかった平均コストです。「リード獲得にかかった費用 ÷ リード獲得数」で算出します。新規顧客の獲得コストを表すCACに対し、CPLは問い合わせや資料請求、セミナー申し込みなど、将来的に顧客になる可能性のあるリードを獲得するまでの費用効率を評価します。
CPLは特に、問い合わせや資料請求などを経て商談や購入につなげるBtoBマーケティングで活用されます。広告や検索、インバウンドマーケティングやアウトバウンドマーケティングなどの経路別にCPLを測定することも有効です。BtoBでは、リードを確度に応じてMQL(マーケティング適格リード)とSQL(営業適格リード)に分類して管理する方法もあります。
低いCPLで多くのリードを獲得できても、その後の商談や購入につながらなければ十分な成果とはいえません。CPLを評価する際は、獲得単価だけでなく、獲得したリードの量と質をあわせて確認しましょう。
リピート率
リピート率とは、商品やサービスを購入した顧客のうち、繰り返し購入した顧客の割合を示すKPIです。例えば、一定期間の顧客のうち2回以上購入した顧客の割合として、「リピート顧客数 ÷ 顧客数 × 100」で算出できます。
リピート率を継続的に測定することで、一度獲得した顧客をどの程度維持し、再購入につなげられているかを評価できます。リピート購入が増えれば、既存顧客から継続的に売上を得られるようになり、顧客生涯価値(LTV)の向上にもつながります。
顧客生涯価値(LTV)
顧客生涯価値(LTV)とは、一人の顧客が取引を開始してから終了するまでの期間に、自社にもたらす売上や利益の総額を示すKPIです。初回購入だけでなく、その後のリピート購入や取引の継続期間なども含め、顧客がもたらす長期的な価値を評価します。
LTVは、ECやサブスクリプションなど、顧客との継続的な取引から収益を得るビジネスで特に重要です。購入頻度や平均購入額、取引期間などが増加すればLTVの向上につながるため、リピート購入の促進や顧客維持施策の効果を評価する際にも活用できます。
また、LTVを適正に把握することで、新規顧客の獲得や既存顧客の維持にどの程度の費用をかけられるかを判断しやすくなり、マーケティングへの投資や予算配分を検討する際の参考にできます。
クリック単価(CPC)
クリック単価(CPC)とは、広告が1回クリックされるごとに発生する平均費用です。「広告費 ÷ クリック数」で算出し、広告からWebサイトへの流入をどの程度の費用で獲得できているかを示すKPIとして活用されます。
CPCを抑えることができれば、同じ広告予算でもより多くの見込み客のクリックを獲得できます。広告の内容やターゲット、キーワードなどの最適化によって改善を図れますが、CPCは広告枠やキーワードをめぐる競争状況などにも大きく左右されます。
ただし、単にCPCが低く抑えられても、購入意欲の低いユーザーからのクリックが増えただけでは、広告の成果が向上したとはいえません。自社にとって価値のあるターゲット層からの流入を確保できているかも考慮しながら、クリック数やその後の成果と併せて評価することが重要です。
広告費用対効果(ROAS)
広告費用対効果(ROAS)とは、広告費に対してどれだけの売上を得られたかを示すKPIです。「広告による売上 ÷ 広告費 × 100」で算出します。例えば、広告費100万円で500万円の売上を得た場合、ROASは500%となります。
ROASを広告媒体ごとに算出することで、どの広告が効率よく売上につながっているかを比較し、予算配分や広告内容、ターゲット設定などを見直す際に活用できます。ただし、どの売上を広告による成果とみなすかによってROASは変動します。広告媒体ごとに、対象とする売上や計測期間などの条件をできるだけそろえることが重要です。
マーケティング投資収益率(ROI)
マーケティング投資収益率(ROI)とは、マーケティングに投じた費用に対して、どれだけの利益を得られたかを示すKPIです。マーケティング活動全体での算出に加え、キャンペーンや施策ごとに測定することもできます。
計測期間などの条件を明確に設定し、ROIを継続的に測定することで、投資対効果が十分に得られているかを評価し、施策の継続や見直し、予算配分などを判断する材料として活用できます。
広告費に対する売上を表すROASに対し、マーケティングROIは広告費以外のマーケティング費用も算定対象とし、利益を基準に投資効果を評価します。
まとめ
マーケティングKPIを設定することで、施策の成果や目標達成までの進捗を数値で把握し、改善点を見つけやすくなります。Webサイト訪問数やコンバージョン率(CVR)、顧客生涯価値(LTV)、マーケティングROIなど、自社の目標や施策に適したKPIを選びましょう。
KPIは一度設定して終わりではなく、継続的に測定し、施策の見直しや予算配分などに活用することが重要です。
マーケティングKPIに関するFAQ
最も代表的なマーケティングKPIは?
マーケティングの目的によって重要なKPIは異なるため、すべての企業に共通する基準はありません。ECサイトの場合、Webサイト訪問数とコンバージョン率(CVR)が基本的なKPIとして挙げられます。顧客獲得単価(CAC)や顧客生涯価値(LTV)なども代表的な指標です。
マーケティングKPIの設定手順は?
最初に売上や利益などの最終目標を設定し、達成に必要な要素を洗い出します。その後、最終目標から逆算して各要素で達成すべき具体的な数値をKPIとして設定します。KPIの達成が最終目標の達成につながるよう、両者の整合性を確認することが重要です。
マーケティング指標はどのように追跡する?
まず、購入やクリック、サイト訪問など、測定対象とする行動やデータを決め、アクセス解析ツールやURLに付加するパラメータなどを活用して計測環境を整えます。取得したデータは、マーケティングツールのレポート機能を利用するほか、CDPなどに集約して自動集計を行うことで、継続的な追跡が可能となります。




