2023年のアパレルEC市場規模は2兆6,712億円に達し、アパレルECのEC化率は22.88%に達したとされています。さらに2024年推計では2.7兆円超・EC化率23%台まで伸びており、アパレルEC市場は年5%前後で成長している分野です。
この記事ではアパレルECの市場データと国内の成功事例を紹介します。
国内アパレルのEC市場規模とトレンド
アパレルECの市場を理解するうえで、まず押さえるべきは市場規模とEC化率です。2023年のアパレルEC市場規模は2兆6,712億円、EC化率は22.88%を記録しました。EC化率は22.88%で、全産業平均の9.38%を上回る水準にあり、アパレルECは年5%前後で成長していると見られます。2024年推計では、民間調査会社の整理でも2.7兆円超・EC化率23%台に達したとされ、アパレルEC市場は成熟しながらも拡大を続けています。
アパレル業界は「実店舗とEC」が対立するのではなく、補完しながら成長してきた分野です。実店舗は試着、接客、ブランド体験の場になり、ECでは24時間販売、在庫拡張、顧客データ取得の場になります。
また、ECにおけるスマートフォンからの購入者は80%以上を占める(英語)とされ、SNSを活用した集客が効果的とされる点も見逃せません。Instagramはカタログ兼販売チャネルとして利用されており、SNSを活用してフォロワーとのコミュニケーションを行っているアパレルブランドほど、購入導線を短くできます。
アパレルEC成功事例7選
国内の代表的なアパレルECで成功したブランドの成功事例を紹介します。
ユニクロ:オムニチャネルとサイズテックでEC売上1,300億円超
ユニクロは日本を代表する衣服メーカーです。ファーストリテイリングの決算関連情報によると、2024年8月期の国内ユニクロのオンライン売上は1,369億円でした。ユニクロのEC売上比率は15%前後で、国内ユニクロのEC化率は14.7%とされています。
ユニクロは早くからオムニチャネル戦略を確立した企業です。アプリ会員IDの統合により、実店舗とECの在庫一元管理が徹底しており、店舗受け取り、店舗在庫検索、オンライン限定サイズ、アプリ会員証などにより、顧客がいつでも購入できる環境を整えています。店舗受け取りにより顧客は送料を節約でき、店舗受け取りを無料にすることでEC利用を促進した点も重要です。
ユニクロは在庫をリアルタイムで共有しており、ECと実店舗のデータを一元化する必要があることを早くから示しました。アプリ会員証を利用して購買履歴を統合しているため、店舗で見た商品をECで買う、ECで見た商品を店舗で試着する流れが自然に作られています。
サイズ面では「MySizeASSIST」やAIアシスタント機能を提供するチャットボット「UNIQLOIQ」があります。
ZOZOTOWN:テクノロジーでサイズ課題とUXを解消したモール型EC
ZOZOTOWNは圧倒的な品揃えを持つファッションECモールであることが最大の強みです。ZOZO統合報告書などによると、2024年3月期の商品取扱高は5,743億7,300万円、出店ブランド数は9,000ブランドを超え、ショップ数は1,600ショップ規模に達しています。
ZOZOTOWNは、ZOZOSUIT、ZOZOMATなどのサイズテックを導入し、アパレルECで最大の不安であるサイズ感を解消しようとしてきました。サイズ感や着用イメージの不安を解消するコンテンツが必要であることを、市場全体に示した存在ともいえます。
また、WEARとの連携により、コーディネート写真から商品を探す体験を作っています。ECサイトのコーディネート写真から直接商品を購入できる仕組みがあると、ユーザーは「自分が着たときのイメージ」を持ちやすくなります。
アダストリア:「and ST」で自社の複数ブランドを自社モールECで販売
アダストリアは、グローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファームなど複数ブランドを展開する企業です。自社モールである「and ST」では、2024年2月期にEC売上689億円・前年比110%を達成したとされています。
and STの特徴は、複数ブランドを1つの自社ECに集約した「モール型自社EC」です。ブランド横断で会員ID、ポイント、購入履歴を統合できるため、顧客データを分析し、パーソナライズされた提案が重要という考え方を実装しやすくなっています。
アダストリアでは、スタッフが自社商品を使ったコーディネートを投稿しており、ECサイトでスタッフのスタイリング画像が表示されます。スタッフの投稿を経由した売上が多いことも、アパレルECでは見逃せないポイントです。
店舗とECの在庫を共通化しているため、欠品を抑えやすくなります。店舗とECの在庫を共通化していることは、在庫回転率を上げるだけでなく、顧客満足度の向上にもつながります。
ベイクルーズ:Web接客とコンテンツでLTVを高めたケース
BAYCREW'S STOREは、株式会社ベイクルーズが展開するJOURNALSTANDARD、IENA、Spick&Spanなどを一つのサイトで運営する総合ECストアです。単に商品を表示させるのではなく、ブログ、スタッフスタイリング、特集記事、レシピ記事など、デジタルコンテンツを充実させている点が特徴です。
BAYCREW'S STOREのような豊富なコンテンツは、商品ページだけでは伝わりにくい素材感、着用シーン、コーディネート提案を補えます。高品質な商品画像が顧客の購入意欲を高めるだけでなく、スタッフのコメントや着回し提案が購入率に貢献します。
オンラインスタイリング、チャットサポート、スタッフ投稿などのWeb接客は、実店舗の強みでありECサイトでは不足しがちな点でもある「人の提案」を補う施策です。直感的なデザインがユーザー体験を向上させるため、読み物から商品、商品からコーディネートへ自然に回遊できるUIが重要です。
ワークマン:ワークウェアからアウトドア・カジュアルブランドECへ市場拡大
WORKMANオンラインストアは、作業服からアウトドア、スポーツ、レディース領域へ市場を広げた事例です。2014年にECを開始し、2023年にはEC売上20億円超となった背景には、アウトドアやスポーツに特化した一般向けブランドのWORKMANPlus(ワークマンプラス)やカジュアルウェアを扱う「Workman Colors(旧:#ワークマン女子)」への拡大があります。
ワークマンは、低価格だけでなく高機能・高品質を強く打ち出しました。高品質である理由、耐久性、撥水性、保温性などを具体的に伝えることで、単なる安売りではないポジションを築いています。
動画コマースや自社アンバサダーの活用も特徴です。YouTubeやレビューを通じて、利用シーンを伝えたことで、購入前に使用感が分かりやすくなりました。地方中心の店舗網とECを組み合わせ、近くの店舗で受け取れる利便性も強みです。
AUEN:コンテンツSEOで月間400万PV・年商10億円を達成
AUENは、「おしゃれが苦手な男性」に向けたメンズファッションECとして「オシャレの教科書」や診断コンテンツを展開してきました。立ち上げ5年で月間ユーザー250万人・年商10億円を達成した事例として知られています。
AUENの成功ポイントは、ECサイトとオウンドメディアを一体運営したことです。年代別スタイリング、体型別コーデ、デート服、オフィスカジュアルなど、検索ニーズに沿った記事を作り、「学び→商品理解→購入」の流れを作りました。
中小規模のアパレルブランドでも、広告だけに頼らずコンテンツSEOで集客できます。成功するECサイトは詳細な商品情報を提供し、コーディネートの理由まで伝えることで、価格比較から離れた購買体験を作れます。
Ameri VINTAGE:SNS主導で年商40億円に達したD2Cブランド
Ameri VINTAGEは、2014年のブランド立ち上げから8年で年商44億円、売上の約7割を自社ECが占めるまで成長したD2C寄りブランドです。
Ameri VINTAGEは、Instagramを中心に、ディレクター本人の発信、世界観の統一された写真、ハイペースな新作投入でファンを拡大しました。Instagramはカタログ兼販売チャネルとして利用されているため、ビジュアルの統一感が購買意欲に直結します。
実店舗は少数精鋭とし、ECが主戦場となるECファースト戦略を採用しています。ブランドストーリーとビジュアルの一貫性により、価格競争から距離を取りながら高いLTVを実現している点が参考になります。
まとめ:アパレルEC成功事例から学ぶ「選ばれ続けるサイト」を目指す
成功しているアパレルECストアに共通しているのは、顧客理解と体験価値への投資です。高品質な商品画像、詳細なサイズ情報、スタッフ投稿、SNS活用、在庫連携、CRMによって、商品以外で顧客に「選ばれる理由」を作っています。
価格競争に陥らず、高品質な商品とブランド世界観、使いやすいECサイトで選ばれる理由を作ることの重要性です。ブランドロイヤルティは、リピート購入を増やし、LTV、つまりは長期的な売上に貢献します。
成功しているECサイトを参考に、自社ECサイト、実店舗、SNSをつなぎ、顧客に選ばれるストアを作っていきましょう。




